皆さんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
私は最近、あしなが学生募金事務局で日本・アフリカの遺児を支援する募金に関する活動に携わっています。そこで感じた、世界の技術事情について、ぜひ皆さんに知っていただきたいと思い、今回番外編という形でまとめました。
世界は遥かに広いです。我々が目に見えているものだけでは、世界を知ることはできません。我々の視界のはるか遠くに存在する世界では、当たり前にある技術は、どのように機能しているのでしょうか。
それを知っていただくためにも、ぜひ最後までご覧いただければと思います!
技術がない国
まずは皆さん、知っていますか?
日本のように、当たり前に水道から水がでてこない、スイッチひとつで電気がつくことのない、楽に電車で通勤することのできないような国があるということを。
実は、あるんです。すでにご存知かもしれませんが、そのような国のことを、開発途上国、或いは発展途上国と呼びます。
開発途上国の中でも特に開発が遅れた国を後発開発途上国とよんでおり、外務省のHPによると「国連開発計画委員会(CDP)が認定した基準に基づき、国連経済社会理事会の審議を経て、国連総会の決議により認定された特に開発の遅れた国々」と定義されています。
同引用元を参照すると、2022年8月現在では、登録されている後発開発途上国の7割がアフリカとされており、さらにそのすべてがアフリカ大陸のサハラ砂漠以南である、サブサハラ・アフリカ地域に集約されています。
それではそのような国の人たちは具体的にどのような生活をしているのでしょうか。
この画像はユニセフのHPより引用したものですが、水を組んだバケツを頭に載せ、家に運んでいる人の様子です。水道が通っていないため、川や池に水を汲みに行かないといけませんし、その水もきれいなものである保証はありません。
朝日新聞の記事から引用しました。学校に行けず料理の手伝いをする子どもたちの様子です。
このような貧困には、例えば教育や政治、地理的要因など、一概にこれだと決めつけることができない様々な原因があります。その根本的な課題をすべて解決することは、不可能だと断言することができます。
しかし、それらの課題の影響を減らし、発展を支援するアプローチには様々なものが考えられます。その一つに技術支援があるということは、いうまでもありません。
例えばアフリカに水道をひけばどうでしょうか。学校に行けない子どもたちが、スマホでオンラインで授業を受けることができればどうでしょうか。
このように、技術には彼らの生活を変えるだけの力があることは確かです。私達の当たり前は、先人の技術によって成り立っているものなのですから。
アフリカ遺児100年構想
そんなアフリカでは、親をなくした遺児もたくさんいます。あしなが育英会は、日本だけでなくアフリカでも遺児支援を続けており、寄付額の1/2をアフリカの支援に充てています。
「あしながアフリカ遺児高等教育支援100年構想」とは、サブサハラ・アフリカ地域の各国から毎年1人ずつ優秀な遺児を選抜し、世界の大学に留学する機会を通して、将来様々な分野で活躍し、母国の発展を担うリーダーを育成しようという構想です。
あしながアフリカ遺児高等教育支援100年構想
あしなが育英会が考えるこの構想では、将来のアフリカを担うリーダーを育成することにあります。同引用元より、なんとこのプログラムを受けて留学している学生のうち、約半数が日本に留学している、というのは驚きです。
実際、彼らと触れ合う機会があしなが育英会のつどいというプログラムでありました。彼らと出会う前は、教育分野や政治系の分野などが多いのかなという印象を持っていましたが、その想像は覆されました。
なんと、技術を学ぶため工学分野に進学している人がたくさんいたのです。こちらは具体的にどれくらいの割合か、までは把握していないのですが、そのプログラムでみた留学生の半分くらいを占めていたように思います。
工学分野で必要不可欠な「課題解決」プロセスは、起業などで組織を運営するときや政治でも非常に重要となるスキルです。リーダーを育成する、という本来の目的にもあっているのではないでしょうか。
課題解決については以下の記事で詳しく取り上げています。併せてご覧ください!
母国を技術で変える夢に向かって
あしなが育英会のつどいに参加し、留学生と出会って驚いたのは工学生の数だけでなく、彼らの強い志です。
技術がないことによって苦しい思いをしてきたアフリカの学生が語る、母国の技術を変えるんだという強い意志に、深く感動させられました。その声についていくらか紹介させていただきます。
交通網を整備して、世界中の途上国を豊かにしたい
あしながBaseより
というのは、日本で環境都市工学を専攻している、コンゴ民主共和国出身のペテモヤさんの夢です。
ルワンダに先進的な医療研究を実施できる環境を整えたい
あしながBaseより
と語るのは、医療生体工学を学ぶルワンダ共和国出身のサムさん。
日本で機械工学を学び、祖国の農業を変えたい
「アフリカ遺児支援レポート」2024年冬号より
日本の大学進学を目指しているマハマットさんによる作文が、引用されています。この思いを語る背景と、そのゴールが明確に示されており、個人的に非常に応援したくなる文章なので、ぜひ読んでみてください。
母国で人工知能を活用したスマート農業をやりたい
「アフリカ遺児支援レポート」2023年冬号より
大学で情報技術や環境工学について学び、現在AIエンジニアとして人工知能や機械学習について研究している、ウィリアムさんの将来の目標です。
他にも紹介したい遺児の声はたくさんあります。このように、私達と同じように技術を学ぶ、アフリカ遺児がいます。彼らは母国を変えるという大きな志に向かって、今を生きています。
私達に出来ることは何だろうか
さて、長くなってしまいましたが、ここからが本題。では一体私達には何が出来るだろうかということです。
まず最初に出来る大きなことは、この現状を正しく理解すること。その次に、今各々で学ぶ技術でそれをどう変えられるか思慮すること、だと思っています。
余裕があれば、自分の技術力で彼らを支援できないか考えてみてください。募金に参加する、という手もありだと思います。アフリカ遺児に支援しているあしなが育英会では、毎年春と秋に街頭募金をはじめとする様々な募金を行っています。
私自身、小学校2年生の頃に父を亡くし、父の借金を抱えた貧しい家庭でなんとか独学で電子工作を続けてきた、という経歴を持つことから、私はいつかアフリカの遺児とハッカソンをやってみたいと思っています。
ユニークな発想と誰でも使えるようになった新しいテクノロジーの力で、皆があっと驚くものや、これまでになかった便利なもの、一人ひとりが本当に欲しいものを作り出す
Maker Faire Kyoto より
この言葉にあるように、技術は誰もが平等に使えるものであるべきです。生まれた環境によってそれが制限されてはいけない。
きっと私が今このブログでやっているような技術的なノウハウの公開が、いつか彼らの明日を照らすことにもなると信じています。今後とも弊ブログをよろしくお願いいたします。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回、ぜひとも技術を学び、ものをつくり、より良い未来のためにエンジニアを志す世界中の皆様に、この深刻な開発途上国の現状と、我々の学ぶこの分野が、彼らの世界を変えるんだということを知ってほしく、今回執筆に到りました。
この現状を知って、ちょっとでも興味を持っていただけたら幸いでございます。これからもより良い未来のために、ものづくりをしていきましょう!それではまた、GoodBye!!