電気・電子回路

ICの中では一体何が!?
MOSFETの原理と使用法

MOSFETってどんな仕組み?どうやって使うの?

トランジスタは種類が様々あってややこしいですね。以前バイポーラトランジスタという種類のトランジスタをご紹介しましたが、今回はユニポーラのトランジスタで、MOSFET(電界効果トランジスタ)と呼ばれる部品の解説をします。

皆さんお元気ですか?以前の記事から時間が空いてしまって申し訳ありません。Jinです。

今日はロジック回路などで非常によく使われているMOSFETについて、構造や仕組みとその使用方法などを詳しくご紹介していこうと思います!

この記事はJLCPCBにご提供いただいております。併せてご覧くださいませ。

MOSFETの動作原理

まずはMOSFETの動作原理から説明していこうと思います。MOSFETは半導体ですので、基本的にはP型半導体とN型半導体からなる素子でスイッチング作用を持っています。

動作原理を解説するときはN-ChのMOSFETで説明させていただきます。

構造

N-ChのMOSFETは下の画像のようになっております。P型のシリコン基板(黄色)の上にN型の層(青色)が二つあり、二つのN型の層に挟まれるように、P型基板の上に絶縁層と呼ばれる絶縁体と接している層(緑色)があります。

P型基板上にあるN型層に接続されている端子はそれぞれ、ソース(S)とドレイン(D)と言います。絶縁層の上にある端子はゲイン(G)と呼ばれ、ここに印加する電圧によって、ソースとドレイン間をスイッチングする素子が、MOSFETという素子になっています。

P型基板下にはボディという端子が接続されており、この端子とゲインの電位差でP型基板表面で分極を起こします。通常、このボディ端子はソースにショートされるため、ソース-ゲート間電圧によってスイッチングすると考えても良いでしょう。

そのため、回路図は以下のようになっています。

上から三本の端子がありますが、これがそれぞれドレイン、ボディ、ソースになっており、いずれもソースがボディとショートしているのが分かります。

バイポーラトランジスタの時と同様に、通常はNchの場合はドレインからソースに、Pchの場合はソースからドレインに電流が流れるようになっています。

しかし、MOSFETは電子またはホールのみがキャリアとなるユニポーラであるため、バイポーラトランジスタのように整流性はありません。

動作原理

それではこの構造でどのようにスイッチングするのか、詳しく見ていきましょう。

まず先述した通り、ボディ端子とゲート端子による電位差によって、絶縁層を挟みコンデンサのように誘電分極を引き起こします。

図のようにNchの場合、ゲートに正の電圧、ボディに負の電圧を印加します。この時、正のゲート端子は金属なので問題ありませんが、キャリアがホールであるボディ側のP型基板はどうなるでしょうか。

実はこうすると、反転層というものがP型基板表面付近に生成されます。この反転層の電子はどこから来るものか詳しくは分かっておらず、よく議論されているそうです。

そのようにして誘起された電子による反転層は、ソースとドレインをキャリアの層で繋げ、通電します。そしてこの時に、両方がN型の層であるため、ユニポーラ駆動となって整流性が無くなるのです。

また、MOSFETは整流性を示さない他に、バイポーラトランジスタと比較して優れている点があります。それは、スイッチング作用時、コンデンサと同様の特性を使用しているため、電流は過渡現象によって飽和します。

つまり、MOSFETのスイッチングにおいて、ゲイン-ソース間には永続的に電流は流れないのです。そのため、損失が少なくなって消費電力の少ない扱いやすい素子になっています。

実際、ほとんどのコンピュータでこのMOSを用いたC-MOSロジックを採用されています。

MOSFETの使用方法

MOSFETの使用例として一番大きなC-MOSロジックについて今回はご紹介いたします。このほかにもフルブリッジ回路を構成し、DC-DCコンバータモータードライバーなどにも応用されています。

C-MOS ロジック

トランジスタやリレーと同様に、スイッチングの機能を持つ素子ですので、ロジック(無接点のシーケンス制御)を構成することが可能です。

シーケンス制御については軽く以下の記事で触れていますので、併せてご覧ください!

MOSFETを使用したロジックが現在主流で、よくC-MOSロジックとしてロジックICなどに表記されています。

それではC-MOSロジックではどのようにして論理素子を構成しているのでしょうか?答えは簡単です。

シーケンス制御におけるノーマルクローズな素子をPchのMOSFET、ノーマルオープンな素子をNchのMOSFETとして構成しています。理由はいたってシンプルで、PchはG=0の時にD-S間が導通し、NchはG=1の時にD-S間が導通するためです。

この等価回路への変換で書くと、たとえばNOT回路は以下のようにあらわされます。

Aの入力で上のPchMOSFETがOffに、下のNchMOSFETがOnになり、0と1を切り替えています。これらはほとんどリレーシーケンスのものやトランジスタで構成されるものと変わりありません。

先述した消費電力の面や、スイッチング速度の面で利点が大きいため、C-MOSの方が多く使用されています。

さいごに

いかがでしたか?今回はトランジスタシリーズということで、バイポーラトランジスタに続きMOSFETのご紹介をさせて頂きました。

記事中ではMOSFETの利点ばかりを上げていますが、MOSFETにはバイポーラトランジスタのような電流増幅作用は働かないため、あまり大きな電流は流せません。そういった点では、バイポーラトランジスタの方が優れていますね!

状況によってMOSFETやトランジスタ、もっと言えばリレーなどを使い分けると良いでしょう。

今回はJLCPCBのご提供で記事をお送りしておりますので、併せてご覧ください!

それでは次の記事でお会いしましょう!GoodBye!

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