KiCADでのライブラリの管理が分からない…
そんな基板設計を始めたい皆さんに向けて今回、KiCADという回路設計CADを使ったライブラリの管理方法を解説していこうと思います!!
皆さんこんにちは、そしてお久しぶりです。Jinです。
少し体調をこじらせてしまい、記事の更新が遅れてしまっていたことをお詫びします。
今回は、電卓に入力する用のキーボードを自作し、その設計で使用したKiCADの使い方について執筆しようと思います。
今回もJLCPCB様のお力をお借りしてこのキーボードを作成しました。良ければ皆様もチェックしてみてください。
KiCADの導入
KiCADを始めるにあたって、環境の構築をしていきましょう。
今回はキーボードにCherryMxの青軸キー、そしてそこにフルカラーLEDを搭載する予定ですので、ノーマルなプッシュスイッチやLEDを使うわけにはいきません。そういったケースも割とあるかと思います。
そこで導入方法と併せてライブラリの登録も紹介していこうと思います。
ダウンロードからインストールまで
ではまず下のリンクからKiCADのダウンロードページに飛びましょう。
KiCAD ダウンロードページ
ここで使用しているOSを選択し、”Worldwide”から”OSDN”を選択してダウンロードを開始します。ダウンロードが完了すればそのファイルを開きます。
”Next”をクリックし、コンポーネントの選択をします。ここはデフォルトでも支障ないかと思います。
次に、インストールフォルダを選択します。CドライブのProgramFilesディレクトリがデフォルトで選ばれていますが、”Brows…”から自由に選択できます。
“Install”をクリックするとインストールが始まるので、完了すれば”Finish”をクリックしてウィンドウを閉じます。これで導入は完了です。導入自体はそこまで難しくありませんね。
ライブラリの登録
基板設計の際にまずはライブラリの関連を用意する必要があります。今回はCherryMxのキーを追加し、それにフルカラーLEDのパッケージもつけたいと思います。CherryMXのライブラリはGithubからとってきており、下のリンクになります。
青軸キースイッチ
キースイッチのライブラリフルカラーLEDは先日シリコンハウスで見つけた、安価でキーに埋め込むタイプのフルカラーLEDを使用しようと思います。
フルカラーLED
それでは、Githubからこのライブラリをダウンロードし、ライブラリに登録、編集する方法を紹介していきます。まず、ライブラリのリンクを開き下の画像のように Code -> Download Zip でZipファイルをダウンロードします。ダウンロードが完了したら解凍してください。
次に、KiCadに移り、設定 -> シンボルライブラリーを管理 を選択します。
すると以下のようなウィンドウが開くので、画像丸で囲んでいる箇所を選択し、開いたウィンドウで先ほど解凍したファイルの、kbd-master -> kicad-symbolsの中にあるkbd.libを選択し、取り込みます。
この時、新しいバージョンのKiCAD6.0であれば古いライブラリを新しい形式に直す必要があるので、追加されたライブラリ”kbd”を選択した状態で右下の”ライブラリーを移行”を選択します。
すると上のような確認のウィンドウが開くので、「はい」を選択してください。これで登録は完了です。
フルカラーLEDシンボルの作成
ライブラリを登録できたので、次にこれを編集していく作業に入ります。まずはライブラリにフルカラーLEDを追加し、次にキースイッチとフルカラーLEDを一つにまとめた部品にします。
次にこれを編集していきます。シンボルエディターを選択し、開いたウィンドウの左の欄でkbdの項目を選択しておきます。その状態で下の画像のように新しいシンボルを作成してください。
するとシンボルを作成するウィンドウが開きますので、次のように入力してください。
これでシンボルを作成できましたので、ここに既存のライブラリからフルカラーLEDを貼り付けます。LEDライブラリにあるAPFA3010を 右クリック -> コピー
次にSW_LEDの編集画面で右クリック -> 貼り付けを選択し、貼り付けます。
先ほどのフルカラーLEDに対応させるため、ピンはそれぞれ次のように設定しています。
ここで、LEDのシンボルはこれでいいのですが、ピンの対応がキースイッチ用のものでは異なるので、下のようにピンを一つずつ編集してきます。ピンをダブルクリックすると編集できます。
また、RやGやBのラベルも対応するように変更します。ラベルを同様にダブルクリックして編集のウィンドウを開きます。
これらの設定をして、上の画像のようになればフルカラーLEDの完成です。
キースイッチとフルカラーLEDの紐付け
最後に、これらの部品をまとめた部品を作成したいと思います。先ほどと同じようにシンボルを作成するのですが、ここで注意しないといけないのはユニット数を2にしてください。
このユニット数というのは、部品のタイプの話で、これを2にしておくと1つの部品に2つのシンボルを紐付けることができます。これによってキースイッチとフルカラーLEDを1つの部品にしようということです。
エディタの画面でも注意点があります。下の画像のように上のバーにある同期ピン編集モードを解除してください。これをするとユニットごとにピンが同期されてしまいます。
画像は同期されている状態なので、これをクリックして解除しましょう。解除したらキースイッチのシンボルをコピーして貼り付けます。
貼り付けたらピンや図形がすべて同期されている状態になるので、下の画像のように図形をダブルクリックしてプロパティの編集画面を開き、左下の”シンボル内のすべてのユニットを共通化”のチェックを解除し、同期を止めます。
これはすべてのシンボルのパーツについて行います。ピンも同様に解除します。
これで同期が解除でき、下の画像のようになっていれば大丈夫です。
次は2つ目のユニットにフルカラーLEDを設定します。上のバーでユニットBを選択します。
ユニットBが開くので、編集画面でフルカラーLEDのシンボルをコピー&ペーストします。
ピンを3~6に変更しておいてください。これでキースイッチとフルカラーLEDの紐づけが完了するので、左上のファイルのアイコンをクリックして保存してください。
お疲れ様でした。
どうでしたか?なかなか同期などがややこしい仕様になっていますが、お手頃にライブラリを編集できて、便利ですね!
気になった方はJLCPCB様のリンクも是非チェックしてみてください。
次の記事では、このライブラリを使って実際に、回路の設計をしていこうと思いますので、是非そちらも併せてご覧ください。
それではまた!GoodBye!