KiCADで基板を配線してみたい。回路から基板へ自動配線したい。
KiCADで基板設計のやり方が分からない、そんな方に向けて今回、KiCADでの基板の設計についてご紹介していこうと思います。
皆さんこんにちは。Jinです。いかがお過ごしでしょうか。
今回も前回に引き続き、リレー電卓プロジェクトの入力機の設計をしていく中で、KiCADの使用方法についてご紹介していこうと思います。
今回のプロジェクトではJLCPCB様に依頼して基板を制作しております。そちらの記事も併せてご覧ください。
フットプリントの割り当て
基板の設計を開始するにはまず、回路のシンボルにフットプリントを割り当てていく必要があります。
フットプリントというのは、簡単に言うとシンボルの実際の寸法などをまとめたもので、基板にこれを配置していきます。
フットプリントの割り当てをするには下の画像のように”フットプリント割り当てツールを実行”を選択します。
すると次のようなウィンドウが開きますので、真ん中の欄から部品を選択、左の欄からライブラリを選択し、右の欄からフットプリントを選んでいきます。
ここで選択するフットプリントは様々なものがありますので、自分の使用する部品の寸法に合ったものを調べて使用してください。
必要であれば外部から.prettyファイルの形式で追加します。ライブラリの管理については、第1回目の記事を参考にしてください。
今回は、下の画像のようにGithubからCherryMXのフットプリントをお借りして少し改良を加えています。
MX_Alps_Hybrid
私の場合は、フットプリントを割り当て後、下の画像のようになりました。
割り当てが完了すれば、画像のように”適用して回路図の保存 & 続行”を選択してからウィンドウを閉じます。
部品を配置
フットプリントの割り当てが完了すると、次はいよいよPCBエディタでの操作をしていきます。
上のようにツールバーから”基板(PCB)を基板エディターを開く”を選択し、基板エディタを開いてください。
エディタが新しいウィンドウで開くと思います。そのままではまだ何も追加されていないので、上のように”回路図で行われた変更で基板(PCB)を更新”を選択してください。
すると上のウィンドウが開きますので(英語になってしまった)、右下の”基板を更新”を選択してください。
そうすると上のようにまとめてフットプリントを移動できるようになります。
適当な箇所にこれをまとめて配置して、自分で一つずつ好きな位置に配置しなおしていきましょう。
配置が完了すれば、次に基板の外形を書きましょう(逆でも良い)。
ツールバーから”線を描画”を選択して線を描いていくのですが、下のようにレイヤーをEdge.Cutsにしておく必要がありますので注意してください。
好きなように囲って外形を描きましょう。ここでは、下のようになりました。
これで部品の配置は完了です。次は実際に部品の足と足とを配線でつないでいきます。
配線
配線をするには、手動で配線をする方法とコンピュータの演算によって自動で配線をさせる方法の2通りがあります。
一つずつ解説していこうと思います。
手動配線
手動で配線をするのはいたってシンプルです。下のように”配線”を選択して部品の足同士を結んでいきます。
ネットクラスを設定すると、配線ごとに太さなどの情報を変更できます。
一般に電源(Vcc)は太くするのが基本なので、それを例に説明していこうと思います。
上の画像のアイコン”レイヤー、デザインルール、様々なデフォルト値を含む基板の設定を編集”を選択し、開いたウィンドウから”ネットクラス”を選択します。
下の画像赤丸でマークした+のアイコンをクリックしてネットクラスを新しく作成、緑色の丸の部分で配線の太さを大きくします。
その後青色でマークしているようにネットクラスをネットに対応させ、”OK”を選択し閉じます
このようにして手動で配線していきましょう。
自動配線
自動で配線させるには、KiCADのほかにfreeroutingというソフトを別に入れる必要があります。
Releases – Freerouting
上のリンクからGithubを開き、最新のバージョンのAssetsからOSに適したファイルをダウンロードし、実行してインストールします。
freeroutingで自動の配線を行うためには、KiCADにて基板のファイルをdsnという形式でエクスポートする必要があります。
そのためにここまでの作業内容を一度保存し、下の画像のようにファイル -> エクスポート -> Specctra DSN…を選択し、フォルダを選択(プロジェクトのフォルダが無難)して保存してください。
次にFreeroutingを開き、作業をしていきます。インストールしたfreeroutinguを開くと、DSNファイルを選択する画面が開きますので、先ほど保存したdsnファイルを選択して開いてください。
するとBoard Layoutのウィンドウが開きます。このウィンドウでツールバーからAutorouterをクリックすると自動配線が開始されます。
自動配線には少し時間がかかりますので、気長に待ちましょう!
配線が終了すると、上のようにPostroute completedがウィンドウ下のバーに表示されるかと思います。これで配線が終了します。
簡単ですね!!
それではこれをKiCADに取り込んでいきましょう。
上のように、File -> Export Specctra Session Fileを選択するとKiCADで取り込み可能なファイル(sesファイル)へ書き出すことができますので、適当なディレクトリ(プロジェクトのが無難)に保存しましょう。
保存ができればFreeroutingでの作業は終了ですので、ウィンドウは閉じて構いません。
KiCADでインポート -> Specctra セッション…を選択し、先ほど保存したsesファイルを選択すれば配線が完了します。
少し電源回りを太くしたり、配線の手直しがしたい場合は先ほど解説した手動配線を行って配線を仕上げましょう。
基板の確認
基板の配線が完了すればあとはそれを確認するだけです。
回路の配線がエレクトリカルルールチェック(ERC)なのに対し、基板の配線を確認するツールをデザインルールチェック(DRC)と言います。
上のようにツールバーから”デザインルールチェッカーウィンドウを表示”を選択し、ウィンドウを開きましょう。
“DRCを実行”を選択し、エラーが出れば手直ししていってください。
エラーが出なければ基板は完成です!お疲れさまでした。
発注
基板の発注は以下の記事にまとめてあります。
今回はJLCPCB様への発注方法をまとめていますが、ほかの企業へ発注する場合も今後書いていこうと思いますので、是非チェックしてみてください。
まとめ
今回は引き続きKiCADの使い方ということで、基板の設計方法について説明しました。いかがだったでしょうか。
気になった方はJLCPCB様も是非チェックしてみてください!
Eagleとは違って自動配線をほかのソフトに委託していますし、配線パターンも一つだけなので少し面倒ですね…
そこを妥協してKiCADを使用するか、Eagleに変えてしまうか…
Eagleが完璧なわけでもないですし、自分の使いやすい方を選んでみましょう!!
以下はEagleの記事になります。
これらを活用してよき電子工作ライフをお過ごしください!!
それではまた!Good Bye!!