「電子工作ってそもそも何なんだ?」
「工作って言っても一体何を作っているんだ?」
電子工作についてあまりよく知られていないのは、この文系社会日本ではごく普通のことでしょう。そこで本日は、こういった疑問を解決し、電子工作とは何か、電子工作の心得などわかりやすくご説明します!
皆さん、こんにちは。Jinです。
前回の記事から2週間ぶりですね。いかがお過ごしでしょうか。最近は秋の気配も深まり、冬の到来を感じさせるような寒さとなってまいりましたが、なにとぞお体にはお気をつけてお過ごしください!
目次
電子工作の歴史
ではまず、電子工作というものが普及した経緯を見ていきましょう。いかにして電子工作が誕生し、手軽に誰でも扱えるホビーの一種となったのか。その歴史についてお話します。
電気の発見
その昔紀元前約600、先人たちは琥珀から”電気”なるものを発見しました。ギリシア人のタレスは、電磁気学現象の発端として、琥珀を布でこするとものを引き付ける、静電気を発見します。
その後”磁石論”を執筆したギルバートによって琥珀を表すギリシャ語(electron)から電気をelectricsと名付けられました。1600年の出来事でしたが、これが静電気学の始まりでした。
ちなみに静電気というものは頭を下敷きでこすった時に髪の毛が立つ、誰もが知るあの現象のことです。
静電気は動電気へ
しばらく、静電気学や磁石の分野は、大きな発展がないまま時が過ぎます。その間に多くの物理現象が解明されていきました。万有引力や光の屈折、そのほか様々な発見により物理学は完成に近づいていきました。
1780年になると、ある発見を境に急速に電気や磁気の研究は発展し始めます。それは、医者のガルヴァーニがカエルの解剖中に発見した生体電気でした。彼はこの発見の功績により、電気生理学の父と呼ばれるようになります。
この発見は、ボルタによって1800年に化学電池として応用されます。当時摩擦による静電気しか知られていなかった物理の世界に、初めて電流を示し、動電気という概念を追加したのでした。
電磁気学の完成
その後、急速に電気の分野は発展します。電気の世界が磁気の世界と関連性があることが1800年の前半に発見され、電磁気学として発展していったのです。
また、ファラデーが電磁気学に革命をもたらします。ファラデーは場の理論や電磁誘導、ファラデー効果など幾多もの新しい法則を生み出します。こういった法則を1865年にマクスウェルが定式化していきました。
電磁気学がもたらした功績はただ電気と磁気の関係性を一般化するだけにとどまらず、アインシュタインの特殊相対性理論をも生み出しました…すごいですね!
ガルヴァーニに始まりアインシュタインに終わるといった経緯で電磁気学は歴史を終結させ、古典物理学最後の項目として発見の幕を閉じます。
電気を手軽に
電磁気学が発展すると、それを用いた発明品が幾多も制作されていくようになります。そういった背景の中、ついに電波の分野が幕を開け、電子工作という趣味が広まっていきます。
まず、ボルタが発明した電池によって発展したのは電磁気学だけではなく、電信という電気の通信分野も発展していくようになります。電磁気学の発展とともに、様々な通信方式が発明されていきます。情報技術史発展の始まりでもありました。
電信分野はモールス信号の発明により、様々な電信機が開発され、より早く正確な伝達が安価でできるようになっていきます。世界中にこれが発展していくと、それに伴いアマチュアの電信士が急増していきます。
電波が発見され、無線通信が開発されると、彼ら電信士はすぐさまこれに注目します。アマチュア無線の誕生でした。無線通信が彼らによって発展すると、これに必要な電子部品が登場し、市場に流通していきます。
電子工作はこのアマチュア無線が発展し、個人におけるラジオの開発や電波の研究に用いられるようになり、誕生したのです。今では多くの人がこれを趣味とし、また情報の発信を行っています。そしてこのウェブサイトもまた、その一つにすぎません!
電子工作とは何か
小学校の時、自由研究をやったことがありますか?
電子工作が何かと聞かれたとき、一番近いのが自由研究です。自由研究では、自由にテーマを決めて研究したり工作をします。これは電子工作も全く同じです。
学習や研究目的から、自分の欲しいものを実現する趣味目的まで目的は幅広いです。特に電気回路を構成し、電子部品を当てはめて配線を組み、実際に動かす一連の工作を電子工作と呼びます。
電子部品はたくさんの用途で多くのものがあります。いくつか代表的なものを紹介します。
抵抗器
抵抗器は電流を妨げるためのものです。妨げる電流はオームの法則に従っており、この抵抗器を活用することによって自在に電流の大きさを強弱させることができ、弱い電流の工作から強い電流の工作まで、幅広い工作を実現できます。
抵抗について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
コンデンサ
電気を蓄えることができる部品です。入る電気の量は幅広く、ただ電気を蓄えるだけではなく、電気の周期的な波(パルス)を発生させる回路にも用いられ、非常に有能な電子部品です。
コンデンサについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
コイル
電流を受けると磁石の働きをする部品です。磁石の性質を利用して電圧を大きくしたり小さくすることを可能にするトランスなどもあります。自在に極性を操れる磁石であることから、物理的な作用を用いて様々な分野に活用されます。
半導体
半導体と呼ばれる素材には電気を通したり、通さなくしたりする性質があります。これを利用し、電流の増幅に使ったり、近年ではプログラミングしたとおりに動作させるマイクロコントローラーやFPGAなど、実に多様なものがあります。
マイクロコントローラー(マイコン)については、以下の記事をご覧ください。
基板
設計した回路は、基板に部品をさすことによって実現します。自分で部品の足をまげて配線するユニバーサル式と、あらかじめ配線を印刷しておくプリント式があります。
プリント式の基板は発注する方が手っ取り早く安心なので、手軽にプリント基板で電子工作を始めたい方は業者に発注しましょう。おすすめのプリント基板業者はJLCPCBです。
発注方法は以下の記事で説明しています!
電子工作で何ができる?
じゃあ電子工作をすると一体どんなものが作れるのか、疑問に思う方もいるかもしれません。一言でいうと、「自分の作りたいもの」です!
学習目的だと、無線通信をしたいな!ラジオの電波を受信したい!と思えば、その回路を組み、基板に部品を配線すればいいのです。特に難しいことを考える必要はたいしてありません。
難しいことを考えるより、まずは作ってみよう!
始め方は人によりけりなところが多いですが、このサイトを活用してもらえると非常にありがたいです<m(__)m>
その他にも本を読んでやってみるという方法もあります。私が電子工作を始めたのは、子供の科学という雑誌を読み始めてからでした。
実践してみて、もっと作りたいものが出てくると思います。中には誰も作っていないようなものも…
そういう時、下の記事が頼りになるかもしれません!是非チェックしてみてください。
電子工作の心得
それでは最後に、これから電子工作を始めたいっていう方向けに、電子工作をするうえで心掛けてほしい心得をお話ししようと思います。
まずは慣れる
電子工作というものは、ホビーの中でもかなり難易度が高く非常に知識を要するところがあります。そのために、始めるには慣れていかないといけません。どれだけ頭が良くても、物を作ることはできません。
工作というのは、知識を要する理学とはまた別の、工学という分野に分類され、知識に加え、技術が必要なのです。そのため、作るためにはまず電子工作することに慣れておかないといけません。
学習する
先述した通り、電子工作は自由研究のようなものです。電気回路と呼ばれる分野があり、それを実践したものが電子工作になります。つまり、電子工作をするということは、電気分野の勉強をしていることになります。
ただ物を作るだけでなく、どの部品がどういう働きをして目的を実現しているか、少しずつでも良いので理解できるようになりましょう!
実現する
ある程度電気回路の知識や電子工作の技術を付けると、あなたは有利になります。なぜなら、それを活用する準備が整っていることになるからです。
知ってどうするか、慣れてどうするか。それは、あなたが新しい技術を生み出すためのものです。巧みに技術を使いこなし、柔軟な思考で目的実現の工作をしましょう!そしていつかあなたが、電気の歴史に名を刻むのです!
さいごに
いかがでしたか?今回は長々と電気の歴史から触れさせていただき、最後にあなたもその舞台にいることをお話ししました。
電子工作というホビーは、なかなか始めるには難易度が高いです。しかしもし始められたら?もし目的の実現ができるようになったら?あなたはもう壁を乗り越え、次の試練へと突き進む力になります。
それでは、御一読いただきありがとうございました。またお会いしましょう!GoodBye!!