電磁部品で音を奏でる企画「Ele Mag Harmony」今回はその解説最終章ということで、ハードウェア(回路部)についてご説明させていただきます。
皆さんこんにちは、いかがお過ごしでしょうか。Jinです。
最近は学事・課外共にいろいろと忙しく、あまり記事の更新も出来ていない状態で申し訳ないです。
さて今回は、前回ご紹介したマイコンの出力をどう受けて、実際に部品を駆動しているか、そのハード部分の解説を致します。
前回の記事も併せてご覧くださいませ。
また今回の基板はJLCPCBにてご提供いただきました。ぜひ確認してみてください!
ハードウェア全体
Ele Mag Harmonyの各部品を制御するハードウェア「Ele Mag Driver」の回路図の全体は下図のようになっております。
電源系統は12V入力で基本的にはリレーとステッピングモータ駆動用に12Vを使用しますが、ソレノイドやフロッピーディスクは12Vだと高いので、スイッチングレギュレータによる降圧回路で5Vの電源も作っております。
STM32の電源はUSARTを使用するため、別でUSBによる入力としています。またSTM32の出力は3.3Vが標準なので、駆動電圧の高い電磁部品を駆動させるにはさまざまな工夫が必要になります。
JLCPCBにて発注した基板です。今回は青色で注文してみました!STM32の基板とも相性が良く、見栄えが綺麗でいい基板で、見とれてしまいます!w
JLCPCBの発注方法等は以下の記事にてご紹介しておりますので、併せてご覧になってください!
トランジスタアレイによる信号増幅
今回ロジックレベルの増幅には、使い勝手の良いシンクタイプのDMOSトランジスタアレイを使用しました。使用したトランジスタはMOSを8Ch内蔵のTBD62083APG。
データシートはこちら
TBD62083は最小の入力電圧が2.5Vなので3.3V系のマイコンで簡単に増幅ができ、非常に魅力的です。
トランジスタアレイとはMOSFETが数個連なったもので、シンクタイプのものは流し台のシンクのように電流を引き込む役割を果たします。イメージとしてはN-MOSを出力のGND側に繋げた感じですね!
シンクタイプのトランジスタアレイではデータシートをご覧いただければ分かると思うのですが、COMMON端子とOUTPUT端子の間に寄生ダイオードが発生します。
これは非常に優れており、リレーやモーターを制御するときに発生してしまう逆起電力(サージ)を逃がしてあげる効果があります。
加えて、流せる電流もさすがMOSFETということもあり、今回のは500mAをMAXで流せます。なので、こういったリレーやモータなどの部品の制御には最適な部品です!
MOSFETについて詳述した記事は後日アップしたいと思っていますので、是非ご確認ください!
ステッピングモータドライバ
ステッピングモータは二相のコイルを駆動させる必要があり、またそれぞれには大きな電流が要ります。そのため、制御が非常に複雑になります。
ステッピングモータのようなモータを駆動させるには、一般的にモータドライバというものを用いるのが基本的であり、今回もドライバーを使用して駆動させています。
モータドライバというのは内部にMOSFETが内蔵されており、それぞれがHブリッジ回路というものを構成しております。
Hブリッジ回路というのは、モータに4つのトランジスタを接続し、それぞれのOn-Offを制御することでコイルに流す電流の向きを制御できる回路のことです。(下図参照)
ステッピングモータでは、1ステップ動かすごとにコイル磁界をひっくり返し、回転磁場と呼ばれる磁場を生成し続ける必要があります。
そのため、このHブリッジ回路を二つ用いて二相分のコイルの正転/逆転を制御し、モータの回転磁場を生成しているのです。
今回使用したステッピングモータのドライバは、Adafruit社が製造しているTB6612というドライバ。
データシートはこちらに掲載されています。
ピン配置は上図のようになっており、H-SWというのがそれぞれブリッジの回路となっております。このICにはそれが2つ内蔵されており、ステッピングモータの制御が可能となっています。
フロッピーディスク制御
まずフロッピーディスクドライバの端子(ピンアサイン)ですが、以下のようになっています。
フロッピーディスクのドライバも実は内部で動かすステッピングモータを制御するだけとなっております。
しかしフロッピーディスクドライブが使用しているモータドライバは先述のPWMのタイプとは異なり、端子がDirectionとStepの2つで制御可能なものになっております。
このタイプのドライバは、Direcitionで方向を指定し、Stepに入力されたパルスで1ステップ進めるという制御をします。
前回の記事で1Step進める処理を説明いたしましたが、実はこの処理というのはStepピンに1周期のクロックパルスを送っているだけとなります。
DirectionはStepを進めていったときにフロッピードライブの軸の終端に来た時、折り返すように出力をトグルしています。
この入力には5Vが必要なため、先述のトランジスタアレイで増幅した後、ドライバに入力しています。
また、フロッピー内部のモータドライバはGNDがコモン端子のためプルアップ抵抗を使用してシンクタイプのトランジスタアレイの出力を反転させる必要があります。
フロッピーディスクドライバのLEDは逆にアノードがコモン端子でGNDが浮いているため、そのままシンクタイプのトランジスタアレイに入力できます。
以上のように端子が複雑であるため、回路図は少しややこしくなっていますので注意してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はJLCPCBにてご提供いただいたEle Mag Driverの基板と、その回路について解説させていただきました。JLCPCBについては以下のバナーをクリックすると詳しく確認ができます!
トランジスタアレイで非常に簡略にレベルの変換を行えたとしても、やはりこういう手の回路はややこしくなってしまいがちですね…
しかしそういった回路を「読む」ことができればいろんな技術を自分のプロジェクトに応用できるだけでなく、デバッグにも強くなれます。
是非回路を読む技術を身に着けてください!また、分からないことありましたらコメント欄でどしどし書いていってくださいね!
それではまた次の記事でお会いしましょう!GoodBye!!