ニキシー時計

ニキシー管を使ったレトロなオリジナル時計を作ろう!
第1回「ニキシー管と時計」

ニキシー管ってなに?時計の仕組みってどうなっているの?

この企画では、暖かみのあるニキシー管で時計を作り、電気的な時計の構造について理解を深めていこうと思います。

皆さんこんにちは、Jinです。いかがお過ごしでしょうか。

今回、ニキシー管で作る時計についての企画を始動しましたので詳しく書いていこうと思います。

またこの企画ではJLCPCBに基板をご提供いただきます。ぜひチェックしてみてください!!

またこちらの記事では基板の発注方法を記載しております。ぜひご覧ください。

ニキシー管ってなに?

今現在私たちは(ディジタルの時計だと)7セグメントLEDやディスプレイに移された表示などを見て生活しています。

しかしこのような表示方法が出る遥か昔、アメリカのバローズ社がグロー放電という現象を利用して数字を表示させるようにした表示器であるニキシー管が登場します。

ニキシー管にはガスが注入されており、電極に140Vほどの比較的高い電圧を印加することにより電子がガスを通って放出されます。

この時の電子がプラズマ状態に励起し、光を発します。これをグロー放電効果と呼びます。ニキシー管はこのグロー放電を使用し発光しているのです。

グロー放電には陽極と陰極の二つの電極が必要ですが、陽極の電極が網状になっており、数字をかたどった陰極と陽極に電流を流すことによって画像のように数字が浮かび上がります。

昔のリレー式電卓では表示にこのようなニキシー管が用いられていました。ニキシー管は使用していませんが、リレー式電卓の記事は以下のカテゴリーを参照してください。

しかしニキシー管で時計を作ろうとすると先述したように140Vほどのかなり高い電圧が必要で、昇圧する回路を挟まないといけないことに注意しましょう。

時計

それでは、そんなニキシー管を使用して実際に時計を作るのですが、時計そのものについて知らないとニキシー管で時計を作ることができませんので説明していこうと思います。

時計の仕組み

今回の時計ではディジタルな時計を製作しますのでその内部を解説していきます。ディジタルな時計は下のブロック図で示してような構造をしています。

まずは発振回路がいかに正確にクロックを刻むかが重要になります。発振回路の刻むクロックを次にカウンタ回路が一つずつ数えていきます。

ここで注意しないといけないことは、先日掲載したリレー電卓の記事でも紹介した通り、コンピュータというのはディジタル回路といってOnとOffの2通りで計算をしています。

つまり人が普段使っている10進数ではなく、2進数を利用して計算をしているのです。それ故にこのカウンタ回路の出力は2進数になってしまいます。

そこでデコーダを入れるます。また先述した通り、ニキシー管表示には百数ボルトの高電圧が必要ですので、昇圧器も入っているということになります。

それではこれら一つ一つを解説していこうと思います。

発振回路

発振回路とは、その名の通り振動を発する装置です。

振動を発するというのはどういうことかと言いますと、物理現象でいう波の波源となって波を発生させるようなものです。

ディジタルな時計ではクロックパルスという矩形波で駆動するので、この波を発する回路ということになります。

ではどのようにクロックを発生するかというと、ここは非常にアナログな話になります。コイルやキャパシタなどの様々な現象を用いて様々な種類の発振回路があります。

しかし正確に時を刻むのは割と難しいので、今回は水晶発振子という部品を使用します。これは電圧をかけると正確に振動を発生してくれる素子で、単純かつ正確に時を刻んでくれます。

それでは発振回路のブロック図を見てみましょう。

水晶発振子はクロックが数MHzと非常に高周波になっているので、時計にするにはこれを1Hzに落としてカウントする必要がありますよね。

そこで発振回路には上の画像にあるように、分周器というものを繋げています。

これに関する詳しい解説は今後ディジタル回路の記事で紹介しようと思っているのですが、後述するようにカウンタ回路で波の数をカウントしているだけです。

しかし数MHzという非常に大きな周波数を落とすためには10進のカウンタ回路を落としたい分カスケード接続して順々に分周するといった流れになります。

カウンタ回路・入力器

入力器付きのカウンタ回路のブロック図を示します。

発振回路で1Hzに調整した後、これを秒のカウンタに入力します。時計では時間、分、秒の3つを表示しますので上のように3つのパートに分けます。

具体的にはその一つ一つの中に1の桁表示用の10進数カウンタ、10の桁表示用の6進カウンタが内蔵されており、それぞれの表示器に対応するという形になっています。

入力器ではこのカウンタ回路のカウントを外部から進めることにより、時間をセットできます。

カウンタ回路というのもの詳しい説明はディジタル回路で説明するのですが、内部にフリップフロップという順序回路が内蔵されており、クロックの数を2進数のパラレル信号で出力するものになります。

このカウンタ部が時計の中心と言っても過言ではないでしょう。

デコーダ・表示器

下の図はデコーダと表示器のブロック図になります。

表示器にはニキシー管を採用するため、昇圧回路から昇圧した電圧が必要になります。

カウンタ回路でカウントした時分秒それぞれのデータに対しデコードをかけ、表示機に私たちが普段使用する10進数の形で送っています。これがバスの終末になります。

昇圧器

先ほどから昇圧回路と何の説明もなしに話していますが、昇圧とはどういうことかというと、こういった高い電圧を得ようとするときに低い電圧から電圧を上げることを言い、昇圧回路とはそれを担う回路のことです。

昇圧回路にも様々なものがありますが、今回はチョッパ昇圧回路という仕組みの物を採用したいと思います。

チョッパ昇圧回路も基礎的な知識がないとなかなか説明するのが難しいのですが、クロックパルスのOn時間とOff時間の割合であるデューティ比を調整することによって自由に高い電圧を得ることができるといったものになります。

クロックパルス(矩形波)にはOn(1)の時と、Off(0)の時があり、これが本来の波の山と谷に体操しているわけですが、この山と谷の間隔を調整すると電圧を上げることが可能です。

こちらも詳しい理論的な解説は後日別途記事に執筆するということで省かせていただきます。

最後に

いかがだったでしょうか。以上のような仕組みでディジタル時計は駆動していることになります。

最近はマイクロコンピュータで全ての機能をひとつに凝縮できてしまうのでなかなかロジックで時計の回路を組むということもなくなっては来ていますがやはり、根本的な構造を知っておくのは非常に重要です。

現在は表示にLEDやLCDのディスプレイ、もっと最近であれば有機ELのディスプレイもありますね。その表示の原点といっても過言ではないニキシー管。

そんな古き良きレトロな雰囲気の表示器とロジックを組み合わせた時計、ロマンがあります。

次回はこの時計の設計や製作をどんどんと流していこうと思いますので、是非チェックしてみてください!

また企画の基板をご提供くださるJLCPCBもチェックしてみてください!

それではまた!GoodBye!

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